食の真実 #006 「スーパーの野菜が長持ちする本当の理由」 ──農家の野菜がすぐ腐るのは、実はいいことだった

冷蔵庫に入れたスーパーのキャベツ、1週間経っても全然平気。

にゃいすが近所のおじいさんにもらったキャベツは3日で外の葉っぱがしなしなになってきた。でもスーパーのキャベツはそうじゃない。

「スーパーの野菜って保存料でも入ってるの?」

そう思ったことありませんか。

実は答えは保存料ではありません。もっと構造的な話です。


スーパーの野菜が長持ちする理由、3つ

①早取りしているから

スーパーに並ぶ野菜のほとんどは、完熟する前に収穫されます。まだ成長途中で細胞が固い状態で切り取られて、流通の過程で少しずつ熟していきます。

完熟していないから、腐るまでに時間がかかる。それだけです。

②CA貯蔵という技術があるから

聞いたことがない人がほとんどだと思います。「Controlled Atmosphere貯蔵」、日本語にすると「気体調整貯蔵」です。

酸素濃度を下げて、二酸化炭素濃度を上げた密閉空間で保管する技術です。野菜の呼吸を人工的に遅らせて、老化のスピードを落とします。

りんごは収穫から1年近くこの状態で保管できます。「秋に収穫したりんごが春まで売っている」のはそのためです。

③収穫後処理があるものもある

野菜や果物の種類によっては、収穫後に鮮度保持剤やワックスで表面をコーティングするものもあります。輸入レモンやオレンジの皮がツヤツヤしているのを見たことがありますよね。あれです。


では農家の野菜はなぜすぐ腐るのか

ここが面白い話です。

農家のおじいさんが「しばらく持つよ」と言うとき、それは本当のことです。土がしっかりしていて根が深く張った野菜は、収穫後も自分の力で自分を守ります。細胞が丈夫で、生命力が高い。これは確かに長持ちします。

一方で農家の野菜がすぐしなびるときは、完熟で収穫しているからです。

糖度が高くて細胞が活発。生きているから変化が早い。これは劣化ではなく「ちゃんと熟れている証拠」です。

スーパーの野菜が長持ちするのは「丈夫だから」ではなく「まだ途中だから」。農家の野菜が早く変化するのは「弱いから」ではなく「完成しているから」。

腐りやすい=生きている、という逆転の発想です。


農薬は関係あるの?

正直に言うと、長持ちするかどうかと農薬はあまり直接関係ありません。

長持ちに関係するのは「土の質」「収穫のタイミング」「収穫後の処理」の3つです。

無農薬でも早取りすれば長持ちするし、農薬を使っていても完熟収穫ならすぐ変化します。

ただし土の話になると農薬は関係してきます。
そして実は果物や野菜の中にも例外もあったりします。

農薬を長年使い続けた土は微生物が減って、野菜の根が本来の栄養を吸い上げる力が落ちます。生命力の低い野菜が育ちやすくなる。これは別の記事でまたじっくり書きます。


じゃあスーパーの野菜は買わない方がいいの?

そうではありません。

スーパーは私たちの日常です。食養生はスーパーで揃う食材で十分できます。

ただ、同じスーパーでも選び方で変わります。

泥つきのものを選ぶ。形が不揃いのものを選ぶ。産直コーナーや地場野菜コーナーを覗いてみる。できるだけ旬のものを選ぶ。

これだけで、手に入るものが変わってきます。

そして時々、農家の直売所や産直市場に行ってみてください。3日でしなびるキャベツを食べてみてください。味が全然違います。そのときはじめて「あ、今まで食べていたのは何だったんだろう」と気づきます。


最後に

スーパーが悪いのではありません。知らないまま選ぶのと、知った上で選ぶのでは全然違うという話です。

「なぜ長持ちするのか」を知った研究員は、同じスーパーでも違う棚を見るようになります。

知識は、いつもの買い物を変える一番安上がりな武器です。

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